How much?!
「ん~、無理だな」
「はぁ?ちょっと、何が無理なんですか!?失礼にもほどがありますよ?!」
無理って、何が?!
そりゃあ、志帆ちゃんみたいに可愛くないし、年齢相応に肌だってカサついてるし。
男性を喜ばせるような豊かな胸やお尻だって持ち合わせてないわよ!!
だけど、それを本人を目の前にして普通言う?!
しかも、黙って聞いてれば次から次へと底なしの暴言の数々!!
本当に失礼極まりない奴だ!!
私は殺気も込めて睨みを利かせ、拳をフルフルと震わせながら嫌悪感を露わにした。
すると――――。
「お前如きが、俺を満足させられる訳がない」
「何ですってッ?!」
またしても毒を吐きやがった、この男。
しかも、さっきから何なの?!
上から目線が心底ムカつくんですけど!!
沸々と湧き起こるドス黒い感情。
未だかつてこんなに嫌な思いをした事は無い。
私達がいる大通りには沢山の人が行き来している。
さすがに怒鳴り散らすほど常識が無いわけじゃない。
だけど、私にだって限界ってものがあるのよ!!
目の前の毒素満載の男に暴言の1つや2つも吐いてやりたくなり、お返しとばかりに粗探しをしていると……。
彼は飄々とした表情から、色香を漂わせる男の顔つきに変った。
そして、怪しげな光を宿した瞳に捕らわれ、硬直するように身構えると。
視線を逸らさぬままゆっくり近づいて来たと思えば、長い腕をスッと伸ばした。
そんな彼の動きをスローモーションでも見るかのように見入っていると……。