How much?!


何、この色?

独特の雰囲気を纏い、他の商品と風格が格段に違う。

何て言うか………次元が違うような、そんな感じ。


「お客様、もしかして同業者の方ですか?」

「えっ?」

「これに目が留まるだなんて……」


同業者?

それって、褒めてんのか?

店員の言葉はいまいち分からないが、この目の前の商品が特別なモノだという事は理解出来た。


俺は無意識にプライスカードを裏返し、値段を確認。

値段的にも申し分ない。

俺的には幾らでも構わないが、貰う彼女の方が気を遣いそうで……。

だから、あまり高価なモノは控えるべきだと踏んでいる。


たまたま通りかかった店で、たまたま目に付いた商品。

それはまさしく“運命”だと言ってもおかしくないだろう。

それくらい、俺はこの目の前の品に釘付けになっていた。


「これにします」

「有難うございます。プレゼントで宜しいでしょうか?」

「はい」

「では、すぐご用意致しますので、お掛けになってお待ち下さいませ」



俺は綺麗にラッピングされた箱を手にして、店を後にした。



プレゼントを用意したはいいが、何て誘おう。

やっぱり、ここは無難に食事に誘うのがベストか?

それとも、たまには映画にでも誘うべきか……。



何だかんだと悩んでいたら、とうとう誕生日の前日になってしまった。

はぁ、マジで情けねぇ。

この調子じゃ、また当日無理やり連れだすパターンじゃねぇかよ。


心底ヘタレな自分に嫌気が差す。


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