How much?!
俺はシャワーを浴び終え、缶ビール片手にリビングのソファに座り込む。
プルトップに指を掛け、プシュッと爽快な音を立てて缶を開けた。
酒の力を借りようとは思わないが、“誕生日”というのが引っ掛かって誘うに誘えないでいる。
マジで自分をぶん殴りたい。
グビグビっと喉を鳴らしながらビールを煽ると、テーブルの上に置いてある携帯が震え出した。
すぐさまそれを手に取ると、彼女からの着信だと表示されている。
一瞬脳が軽く停止したような……。
って、そんな事はどうでもいいんだって!
俺は緊張しながらその電話に出た。
「もしもし?」
「あの、こんばんは。……早坂ですけど」
「ん、…………何か用?」
何でもっと優しく声を掛けられないんだろうか?
別に素っ気なくしたいと思ってる訳じゃないのに、テンパってる自分を隠そうとぶっきら棒に言葉が勝手に出てしまっている。
「えっと、あの………」
「ん」
「明日って、お時間取れそうですか?」
「えっ?」
明日って、誕生日じゃん。
自分が何を言ってるのか、コイツ分かってない。
普通、誕生日は大事な人と過ごしたり、家族と過ごしたりするもんだろ。
俺みたいな恋人でもない男と過ごしていいのか……?
「お忙しいですよね……。お彼岸が終わるまで、お休みが無いって言ってましたもんね」
「あっ、いや………夜なら何とかなるけど」
「えっ、ホントですか?」
「…………あぁ」
何、その反応……?
変に期待すんじゃねぇかよ。
俺は自重するように必死に自分自身に言い聞かせると、