How much?!


「麻生さんのお陰で、スッキリしました」

「……え?」

「ありがとうございます」

「…………いや、俺は何も……」


何て答えていいのか困る。

スッキリした?って、何が?

俺は全然スッキリしないんだけど?

ってか、迷宮入りしそうなくらいモヤモヤなんだけど……。


彼女の顔を覗き込もうとすると、パッと視線を外された。


「今日は本当に楽しかったです。プレゼントまで頂いて……ありがとうございました。お休みなさい」

「えっ……あぁ、おやすみ」


俺の言葉も聞き終えないで、彼女は自宅へと駆けて行ってしまった。

………今のは、何だったの?


状況が理解出来ず、悶々とする。

だが、いつまでも寒空の下で立ち尽くすのも馬鹿馬鹿しい。


俺はモヤモヤが残るまま自宅へとその場を後にした。



自宅に到着した俺はリビングのソファに座り込む。

普段ならここで彼女宛にメールを送る所だが、さすがに今日は止めた方が良さそうだ。


日付が変わってしまったけれど、誕生日を祝ったムードを壊したくない。

こんな日にわざわざ彼女の存在価値を値段になんて考えられない。



抱きつく意味に何が隠されているのだろうか?


俺を『男』として意識するのかを確かめたのか?

もしくは、俺が抱き締めれらてドキドキするのかを知りたかったのか。

じゃなければ―――………


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