How much?!
「用が済んだのなら、さっさと持ち場へ戻れ。邪魔だ」
「っ……」
「それとも何か?仕事をしてる俺があまりにカッコ良くて、見惚れてんのか?」
「ッ?!」
「今は勤務中だ。俺に話しかけんな」
昨夜とは別人かと思えるほどの豹変ぶりに驚きを隠せない彼女。
業者がいる手前声を潜めて話し掛けているが、当然彼女には伝わっている。
複雑な表情を浮かべた彼女。
俺をじっと見下ろしている。
俺はゆっくりと腰を上げ、彼女に向けたくない視線を浴びせる。
まるで、“お前は他の女となんら変わらないな”と蔑むような視線で。
そして、ゆっくりと彼女の耳元で囁いた。
「今日の小町は49円」
「ッ?!………どういう……意味ですか?」
俺にキッと睨みを利かせて来た。
そんな彼女に俺は―――………
「このお茶程度の女ってことだよ」
「はっ?」
「このお茶………原価45円、税込み49円」
「ッ?!」
「お前の価値なんて、そんなもんだ」
「………っ」
俺をじっと見据える彼女の目に、みるみるうちに涙が溜まってゆく。
俺だって、こんなこと言いたくなかった。
嫉妬から口が勝手に滑ってて……。
彼女の潤んだ瞳が俺の心に棘となって突き刺さる。
なんだよッ!
そんなに悔しそうな顔するなら、俺だけ見てればいいだろ!
俺だけに微笑んでくれたら……。
そしたら、こんな風に傷付く言葉なんて吐き捨てたりしないのに……。