How much?!
部長の一言で脳内が大パニックを起こしている。
だってだって、だって……。
私の存在なんて、あの忘年会の時に初めて知ったと思ったから。
そりゃあ、彼曰く『メドューサ事件』で一躍有名になったけど、でも彼との接点なんて何にも無かったのに。
どうして、私の勤務態度を知ってるの?
殆ど放心状態でお茶を配り回った。
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誕生日前日の午後。
私は改装手伝いに配るお弁当(助六)を車に積み込んで、志帆ちゃんと共に美園店へと向かった。
助六は業者へのガソリン代として配られるもの。
夕方までに配達をすればいい事になっている。
3時過ぎに美園店に到着すると、志帆ちゃんの恋人・皆川さんが出迎えてくれた。
私は2人に休憩時間をあげる為、近くにいた美園店のスタッフに声を掛け、お弁当を配り歩くと……。
「もしかして、小町?」
「えっ?…………あっ、浩二?」
改装手伝いに参加している業者の中に、大学時代の同級生がいた。
ゼミが同じだった事もあり、結構仲が良かったうちの1人。
去年、同級生の佐知代ちゃんと結婚した。
「元気だった?そう言えば、さっちゃんオメデタなんだって?」
「あっ、そうそう!今年の夏に生まれる予定なんだぁ」
「おめでとう!」
「ありがとな」
人差し指を鼻の下で擦るはにかんだ仕草は相変わらず。
2人は大学でも有名なカップルだった。
相思相愛……それに尽きる。