How much?!


「小町、結婚は?」

「何それ、嫌味?」

「いや、そう言う意味じゃなくて。お前みたいなイイ女が独身ってのが、勿体ない気がしてさ」

「ありがと。お世辞でも嬉しいよ」

「いや、お世辞じゃないって。マジで言ってんの」

「………結婚はしたいと思ってたけど、相手がいなかったら出来ないじゃん。だから、今はあまり願望は無いかな」

「マジで?ホントに誰もいないのかよ?何だったら、紹介しようか?」

「………紹介はいいや」

「何、その反応。もしかして、気になる奴がいんのか?」

「………」


昔からコイツはズバズバ言う分、勘が鋭い。


「気になるっていうか……。気になってるのかさえ、よく解んないんだけど」

「でも、何となくでも気になる気がしてんだろ?」

「…………ん、まぁ、何となくね」


部長から話を聞かされたからってのもあると思う。

正直、彼との接点なんておかしな賭けから始まったと思っていたから。


でも、本当は………もしかしたら、違うのかもしれない。

だから余計に気になるってのもある。


「俺らの歳になるとさ、出逢い自体が奇跡の連続だと思うんだわ」

「へ?」

「こうして営業やっててつくづく思うんだけど、縁って、知らぬうちに導かれてるんだよな」

「………」

「お客様あっての仕事だけど、メーカー同士の付き合いもあるし、こうして取引先との付き合いもある。だから、いつどこでっていう線引きは無いと思ってる」

「………そうだね」

「それに俺ら、大学を卒業して一度は別れたんだ」

「え?」


< 197 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop