How much?!
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「お前、マジで面白い奴だな」
「な、何とでも言いなさいよッ!ってか、『お前』じゃなくて『小町』だから!」
「あ?」
「だから、私は早坂小町!!惚れる女の名前くらいしっかりと覚えなさいよッ!!」
「プッ………ヤバッ。久しぶりにマジで笑える」
「はっ?」
嘲笑う彼に睨みを利かせると、
「俺が惚れる訳ねぇだろ。アンタが俺に惚れるんだから」
「…………」
コイツ、相当なナルシストだ。
自分をイイ男だと完全に勘違いしている『痛い男』
容姿が整ってればいいってもんじゃないのよッ!
肝心なのは『心』
ハートよ、ハート!!
こんなサイテー野郎を口説かなきゃならないって、拷問以外の何物でもないじゃない!
呆れ返って溜息を零すと、
「なぁ、小町」
「ッ?!………なっ、何よっ!!」
完全に不意打ちで名前を呼ばれた。
しかも、目の前の男は余裕綽々のしれっとした表情で。
呼ばれた私の方が動揺するって、どういう事?
思わず視線を泳がせると。
「勝負には褒美が付き物だよな」
「え?…………まぁ、確かに」
こんなサイテー男を見返り無しに落とすだなんて、考えただけでも虫唾が走る。
無意識に身体を震わせていると。
「じゃあ、小町は何が欲しいんだ?……言ってみろ」
「ッ?!突然……聞かれても………私は………」