How much?!


変に意識し過ぎてしまってる自分が嫌になる。

こんな風に好きな人と同じ布団で寝る事自体が私には初めてでも、彼は違う。

きっと、慣れているに違いない。


それに、数時間後には仕事をしなければならない彼。

私みたいな無遠慮な女がいきなり自宅に押しかけて来たんだもん。

そりゃあ、予定を崩されたくないよね。


私は静かにベッドの淵からほんの少し中の方へ移動した。

そして、ゆっくりと彼の方に視線を向ける。


徐々に暗い室内にも目が慣れて来て、薄らと彼の横顔が視界に見て取れた。


シャープな顎のライン。

スッと通った鼻筋。

規律の良い寝息を聞きながら、私は静かに瞼を閉じた。


すると、


「今は酒が入ってるから」

「えっ?」


寝ていると思っていた彼が口を開いた。


「そうですね。あれだけ空き缶があれば……」

「だから、今は抱けない」

「へっ?////」

「今抱いたら、優しくしてやれそうにないから」

「ッ/////」

「初めての時くらい優しくしたいし、俺もしっかり覚えていたい」

「ッ!!///////」


なななな、なっ、何を言ってるの、この人!!

漸く静まりかけた鼓動がまた暴れ出しちゃったじゃない!


布団から目だけ出して彼を横目で捉えると、彼は私の方へ寝返りを打った。

そして―――――。


「ごめんな。勇気を出して来てくれたのに、応えてやれなくて」

「べっ、別にっ!……わっ、私は……麻生さんに、気持ちを伝えたくて……来ただけですからっ!」

「フッ、そうだったな」

「ふぇっ?!////」


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