How much?!
髪を優しく撫でる彼の指先。
懐かしいその感触に、意識がその場所へと集中する。
ゆっくりと滑りゆくその指先は、何一つ変わっていない。
前も、そして今も……とても優しく。
そして、愛おしそうにそっと撫でてゆく。
その指先は、フェイスラインの髪を梳くようにして顔を隠していた私の手に優しく重なった。
「小町」
さっきよりも少し落ち着いた感じの声音。
重ねられた指先は、私の手を掴んで手繰り寄せた。
自然と彼の方へ向かされた私。
無意識に彼の瞳を捉えると――――。
「俺は………この手を離したくない」
「………へ?」
「この前、俺に『好きか』と尋ねたよな?」
「………はい」
「正直、好きかと問われて素直に好きだと言えるような性格じゃない。あの時も、天邪鬼な気質で『嫌いじゃない』と口が滑りそうになった」
「………」
「だけど、小町が求めている答えは違う。それは、俺でも解った。だけど、旨い言葉が浮かんで来なくて………ごめんな」
「…………じゃあ」
「好きだよ。というよりも、3年前から好き過ぎて病んでる」
「えっ?」
「お前の事が何でも知りたくて、あらゆる手を使って調べ上げたし。ストーカーだって通報されたら、恐らく逮捕されるくらいに………な」
彼は苦笑しながら正直に言葉を綴る。
漸く彼の口から“好き”だと聞く事が出来た。
しかも、彼の性格からしたら、これまでの事を洗いざらい話すだなんて、絶対有り得ないのに……。
彼の瞳に吸い込まれるように見つめていると、