How much?!


握りしめられた手がゆっくりと開かされて………。

そして、その手のひらの上に何かがそっと乗せられた。

不意に視線をそこへ落とすと、


「早坂小町さん。俺と、結婚を前提に付き合って下さい」

「………………へっ?」


手のひらの上にはビロード地の小さな箱が。

目の前の光景に思考が完全に停止した。


片方の手は私の手を握りしめ、もう片方の手が頬を伝う涙へと。

そんな彼にゆっくりと視線を上げてゆくと。

真剣な表情の中に、どこか緊張の色を滲ませた彼の瞳があった。

その瞳に惹き込まれるように見つめ返すと。


「返事は?」

「え?」

「プロポーズの返事」

「……………っ~~~ッ!!」


プププププププ、プロポーズッ!!

今のがプロポーズなの?!

脳が完全に停止してて、全く理解出来なかった。

えっ、えっ、えぇ~ッ!!

私は彼からプロポーズされたって事?!


状況は理解出来ても、何て答えたらいいの?

“はい”?

それとも、“宜しくお願いします”??

脳にブドウ糖が足りないのか、全然稼働する気配すら無いんだけど……?

何て答えたらいいのか悩みあぐねていると。


「頼むから、“はい”って言ってよ」

「えっ?」

「これからの人生に、小町がいないなんて想像するのも嫌だから」

「っ……」

「だから、“はい”以外は受け付けない」

「………………はい」

「え?……今、“はい”って言った?」

「はい、んッ!!////」


彼の素直な想いを聞いて、自然と“はい”と漏れて―――。

小さく頷くと同時に、きつくきつく抱き締められた。


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