How much?!
「先輩、何が気になるんですか?そんな『私、見事にマリッジブルーなんです』みたいな顏しちゃって」
「うっ………」
志帆ちゃんには敵わないな。
私の心を完全に見透かしてる。
それに、私を心配して掛けてくれる言葉だから嬉しいんだけど、余計に心が引けてくる。
話が性急すぎるのも問題だけど、それよりも気になる事がある。
「実はさ、彼のご両親2人共他界されてて。結婚式は女の子の憧れみたいなものがあるでしょ?だから、彼が気を遣ってるんじゃないかと思って。私は、家族と志帆ちゃんにウェディングドレス姿を見せられればそれでいいんだけど」
「………麻生さんは、何て?」
「叔母さん夫婦に両親の席に座って貰うって言ってた」
私の両親に挨拶をしてくれる事になった時、彼から聞かされた話。
妹の碧ちゃんがまだ4歳の頃、交通事故で亡くなったらしい。
当時、彼も7歳になるかならないかくらいの歳だったし、本人曰く、あまり記憶に無いらしい。
恐らく、事故のショックもあっての事だと思うけど。
そんな2人を育てたのが、彼の母親の妹夫婦。
その当時、新婚だった叔母夫妻が、彼らを引き取り育てたと彼から聞いた。
だから、結婚式に叔母夫妻が親代わりで出席するのは当たり前なんだけど、それでもやっぱり、うちの両親と比較して気を遣うんじゃないかと不安になる。
そんな込み入ったデリケートな話を聞かされた志帆ちゃんは、神妙な面持ちで口を開いた。