How much?!


漸く落ち着いた筈の涙腺も、容易く緩んでしまった。


「おいっ、別に泣くほどの事じゃねぇだろっ」


私の涙を見た彼が、途端に慌て出した。

あぁ、もう本当に……私ってどうしようもなくダメな子だ。

こんなにも愛されているのに、彼を勘ぐる事ばかりしてただなんて……。


「大和さんっ!!」

「おっ………どうしたんだよっ、いきなり」


私は靴も脱がずに彼に抱きついた。

だって、1秒でも早く彼に触れたかったから。


そんな私を動揺しつつも優しく抱き締めてくれる彼。

仄かに柑橘系の香りが鼻腔を掠めた。

ダメだ。

もう、好き過ぎて頭も身体も手に負えないっ!!


「少しだけ待ってて?」

「は?」

「直ぐに戻って来るからっ!!」


私の意図する事が分からず、首を傾げる彼。

そんな彼の頬にチュッとキスをして、私は部屋の中に駆け込んだ。


彼が不思議そうに見つめる中、寝室から着替えを持って浴室に飛び込んだ。

本当は念入りに手入れを施して、一番良い状態で彼に貰って欲しかったけど。

でも、そんな事よりも今は、1秒でも早く彼のモノになりたかった。


指輪で繋がれている関係じゃなくて、心と身体で繋がる関係に。


結婚してからでも遅くないのかもしれない。

だけど、不安なまま結婚するんじゃなくて、心から安心して彼に嫁ぎたい。


きっと彼はそれを望んでいる。

今でも十分過ぎるほど倖せだけど、彼にも安心して貰いたいから。


私が出来る事なんて、きっとこれくらいしかない。

お願い、私を受け入れて―――――。


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