How much?!
シャワーを浴び終えた私は、鏡の前で深呼吸。
お風呂上がりなのに外出着を着るのもどうかと思い、可愛らしい部屋着にした。
あからさまに下着姿もおかしな話だし、何より私には経験が無い。
これから起こりうる全ての事が初めてなのだから、気負う事も無い。
全て、彼に委ねればいい。
この先の人生を彼にリードして貰うのと同じように。
私は今一度深呼吸してから、彼のもとへと。
「お待たせ」
「………何が?」
そうだよね。
状況が理解出来なくて当たり前だ。
私ばかり納得していても、こればかりは1人では何も出来ない。
私は真っ赤な顔のまま、彼の横に立った。
ソファに腰掛けている彼が、私の心境を読もうとじっと見つめてくる。
そんな彼の膝の上に座り、彼の首にそっと腕を回した。
こんな大胆な行動、生まれて初めてで。
自分が自分じゃないみたい。
だけど、きっと今を逃したら後悔する。
やっと心の整理がついたのに、ここで軽くあしらわれたら……私、立ち直れないかもしれない。
ガツガツした女は嫌いだと言った彼。
自分の価値を下げる女も嫌いだと言った。
もしかしたら、今私がしている事はそのどちらにも該当するのかもしれない。
だけど、それでも、私をそっと受け入れて欲しい。
私は彼の耳元に恥ずかしさを堪えて囁いた。
「抱いて」