How much?!


シャワーを浴び終えた私は、鏡の前で深呼吸。

お風呂上がりなのに外出着を着るのもどうかと思い、可愛らしい部屋着にした。

あからさまに下着姿もおかしな話だし、何より私には経験が無い。

これから起こりうる全ての事が初めてなのだから、気負う事も無い。


全て、彼に委ねればいい。

この先の人生を彼にリードして貰うのと同じように。



私は今一度深呼吸してから、彼のもとへと。


「お待たせ」

「………何が?」


そうだよね。

状況が理解出来なくて当たり前だ。

私ばかり納得していても、こればかりは1人では何も出来ない。


私は真っ赤な顔のまま、彼の横に立った。

ソファに腰掛けている彼が、私の心境を読もうとじっと見つめてくる。


そんな彼の膝の上に座り、彼の首にそっと腕を回した。

こんな大胆な行動、生まれて初めてで。

自分が自分じゃないみたい。

だけど、きっと今を逃したら後悔する。

やっと心の整理がついたのに、ここで軽くあしらわれたら……私、立ち直れないかもしれない。


ガツガツした女は嫌いだと言った彼。

自分の価値を下げる女も嫌いだと言った。


もしかしたら、今私がしている事はそのどちらにも該当するのかもしれない。

だけど、それでも、私をそっと受け入れて欲しい。



私は彼の耳元に恥ずかしさを堪えて囁いた。


「抱いて」


< 281 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop