How much?!
私の言葉に反応して、彼の喉仏がゆっくりと上下した。
けれど何言うでもなく、彼はゆっくりと首に絡める私の腕を解いて、私の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「小町、………どういう意味?何か、あったんだろ?」
「………理由を言わないと、抱いてくれないの?」
「…………そうだな、理由にもよる」
「こんなにも勇気を振り絞ってお願いしてるのに?」
「だからだよ。そこまで追い詰められてる理由が知りたい。俺には話せないのか?」
「っ………」
真剣な眼差しに一瞬たじろいでしまった。
理由を口にしたら、少なからず辛い想いをさせてしまう。
だけど、理由を言わなければ……きっと、彼は私を抱こうとはしないだろう。
私は脳内を必死に整理して、最小限のダメージで済むように祈りながらゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「今日、叔母様のレストランに行って来たの。大和さんが結婚を急ぐ理由が知りたいのと、言葉では言い表せないんだけど、心のわだかまりみたいなものを拭い去りたくて……」
「…………で?」
「悪いとは思ったんだけど、叔母様からご両親の事を伺ったわ。私にはその全ての辛さを理解するのは無理だとしても、これからの人生、あなたの傍で少しでも分かち合える事は出来ると思うの」
「………」
「あなたがあの場所へ私を連れて行ってくれた事も、今日みたいに私のことを心配してくれる優しさも、全てが嬉しくてっ」
私は込み上げる感情を制御し切れずに、彼の首に再び抱きついた。
そして、