How much?!
抵抗しない私に呆れたのかな?
小さい溜息を吐いた彼。
駄々を捏ねる子供だと思われたかしら?
でも、初めてなんだもん。
『抱いて』って言ったのだって、相当勇気を振り絞ったんだから。
だから、こうして抱きつくだけで許してね?
彼はゆっくりとした足取りで寝室へと向かう。
彼のベッドと違い、私のベッドはセミダブル。
まぁ、シングルじゃないだけマシだと思わないとね。
室内は、レースカーテンから漏れる月明かりだけ。
そっとベッドに下ろされた私は、緊張のピークに達していた。
自分で言っておきながら、やっぱり心臓が暴れ狂ってる。
こればかりは仕方ない。
ギュッと目を閉じると、ギッとベッドが軋み、身体の左側が僅かに沈む。
彼がゆっくりと覆い被さるように私を組み敷いた。
少しひんやりする指先
サラッと肌に触れる彼の髪
チュッとリップ音を室内に響かせ、
時折、チクッと僅かな痛みも点在させて
艶気を帯びた瞳と熱い吐息
じんわりと汗を滲ませ
『小町』と何度も囁く甘い声
鋭い痛みを掻き消すほどの愛おしさ
自然と溢れ出す倖せの証
そんな私の涙を掬い絡め取る彼の唇
心配そうに覗き込む彼の瞳に映っているのは
―――――紛れもなく、私
私は腕を目一杯伸ばして、彼を求めた……。
「………大和」
「っ………」
私の声に、驚きと嬉しさを滲ませた彼の顔。
これ以上無いほどに倖せそうに見えた。
今、この瞬間を
――――――私は一生忘れない。