How much?!
「よっ、御両人!!」
「兄さん、おめでとう」
「これで肩の荷が下りたわぁ~」
碧さんのご主人・幹也さんの掛け声をかわきりに、碧さんも叔母様も言葉を漏らす。
そして、叔父様はにこやかに微笑んで……。
そんな皆の視線に応えるように私の手を引き寄せ、彼は私の肩を抱き寄せた。
とっても柔らかな笑みを浮かべて―――
「お腹空いたぁ」
「お前、それ以上太ったら、双子だと思われるぞ」
「あっ、またそういうこと言うっ!!小町ちゃん、こんな男のどこがいいわけ?!今ならまだ間に合うよ!婚姻届を出す前に、もう一度よく考えた方がいいって!!男は優しいのが一番だからっ!!」
「そうそう!女に毒吐く男なんて、止めときなさいっ!私がもっと素直で優しい男を紹介してあげるからっ!!」
碧さんと叔母様の言葉に血相を変えた彼。
素早く墓石の上から婚姻届を手に取り、内ポケットに仕舞い込んだ。
「小町、今さら止めるって言ってももう遅いからな?」
2人の冗談を真に受ける彼。
相当余裕が無いように見えて、少し笑える。
「何、笑ってんだよ」
「だって……」
「兄さんって、冗談も通じない程、小町ちゃんにベタ惚れなんだぁ♪」
「義兄さんのこんな顏、初めて見たかも」
「っ……」
皆からの冷やかしだと気付いた時には既に遅し。
頬を赤らめた彼は、気まずそうに顔を逸らした。
そんな彼に腕を絡ませ、私はにこりと微笑んで――――。