How much?!
――――後悔しても、もう遅い。
目の前の男は、したり顔で見上げている。
どう考えたって、可笑し過ぎるでしょッ!!
キス……?
普通、好きな人とするもんじゃないの?
何を好き好んで、こんな悪魔みたいな男としなきゃならないのよっ!
「おい、どうした。もしかして、今さら出来な「んッ」
彼の口から更なる毒を吐かせまいと、無我夢中で唇を重ねていた。
キスの経験はある。
だけど、本当に久しぶり過ぎて、正直どうやっていたのかさえ記憶に乏しい。
緊張のあまり、震え気味の唇が彼にバレるんじゃないかと気が気じゃない。
軽く啄み角度を変え、何度も甘噛みしながら様子を窺うと。
後ろ首を支える手に力が入り、ますます逃れられなくなった。
こうなったら、何が何でも虜にしてみせる!
意地っ張りな性分がこんな所で発揮しても仕方ないのに……。
覚悟を決めた私は突っ張っていた腕を緩め、彼の肩へと滑らせた。
すると、そんな私に応えるように、彼の舌先が唇の隙間を縫って滑り込んで来た。
自然と絡まり、少しずつ深くなるキス。
仄かにミントの味とほど良い温かさが伝わって来た。
7年ぶりのキスは蕩けるように甘く、身体の芯がジンと甘い痺れをもたらして……。
いつの間にか、ふわふわと浮遊する感覚に思考までもがどこかへ飛んで行きそうに。
私は無意識に彼の肩をギュッと掴んでいた。
すると―――――。