How much?!


クラッと身体が横揺れを感じたかと思えば、次の瞬間、急に身体に重みを感じた。

……それは、体勢が逆転した事を示している。


革張りのソファに背中を押し付け、彼からのキスを受ける体勢。

ますます逃れられなくなってしまった。


けれど不思議な事に、キス自体は気持ち悪くない。

いや、むしろ……その逆だ。

悔しいけど、コイツ、キスは上手い。

言葉は恐ろしいほどに乱暴でも、キスは………凄く優しい。

もっと乱雑で強引なキスかと思っていただけに、気が付けば私の方が虜になってるなんて……。



ますます深くなるキス。

その先を求めるように彷徨って……。



ゆっくりと唇が離されると、自然と彼の瞳を求めた。


「フッ、まぁ、悪くねぇな」

「ッ?!」


彼は既にソファから立ち上がり、私を見下ろしている。

一気に現実に引き戻されて、羞恥なあまり彼をキッと睨むと。


「お前、そんな顔して説得力ねぇぞ?」

「なっ!!」

「フフッ。それに、腰が砕けて動けねぇだろ」

「ッ!」


ソファに沈み込んでる自分の身体。

彼が言うように完全に腰が砕けてる。

腕を着いて必死に起きようとしてみるものの、身体がピクリとも動かない。


くっ………悔しいぃ~~ッ!!

骨抜きにする筈が、骨抜きにされてどうすんのよッ!!


あまりの悔しさと羞恥で涙が頬を伝った。

それを見た彼は一瞬驚いた表情をしたが、すぐさま顔を背けて……。


「悪い、やり過ぎた」


そう言ってスッと片手を差し出した。


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