How much?!
「足首がキュッと締まってる綺麗な脚をした女性は………締まりがイイと言われてますし、男性の鼻が立派だとアレが立派だと言われてます」
「………はあぁーッ?!」
思わず大声を上げてしまった。
「ちょっと先輩、恥かしいですから!!」
「あっ、ごめんごめん」
志帆ちゃんに腕を掴まれ、周りの視線から逃れるように早歩きでその場から立ち去った。
それにしても、この子は一体どんな所からそんな情報を得てるんだろう?
年齢は4つも下だけど考え方は至って大人だし、時々不思議に思う事がある。
あの職場では敢えて友人を作らないようにしている彼女。
それは、恋人が雑貨部門のチーフバイヤーという事もあり、その彼を通してイケメン社員にお近づきになりたいという女子社員を彼女なりに牽制しているようだ。
私と彼女は社内でも有名なコンビ。
仕事中は至って真面目だし、女性という事を武器に男性に媚びたりしない。
彼女は唯一私の味方であり、ナイトのような存在だ。
そして、いつだって私の事を『お局様』でなく、『早坂小町』として見てくれている。
彼女の言葉はオブラートで包まない分、グサッと来る事もあるけど。
だけど、彼女はいつだって自分に正直に生きている。
私は意地っ張りで素直じゃないから、そんな彼女の事が可愛くて仕方ない。
無い物強請りっていうのかな……?
私達は15分程歩いて、宴会場に辿り着いた。