How much?!
携帯電話を握りしめ、格闘する事数分。
「志帆ちゃん」
「はい?」
「何てメールすればいいの?」
志帆ちゃんが、麻生さんの好きな物は何か、食べたい物は何かをメールで聞いてみたら?と言うが、これが初めて送るメールだと思うと緊張して……。
「普通に、今夜何が食べたいですか?で、いいんじゃないですか~?」
「そういうもの?」
「そういうものです!」
「う~ん……」
再び携帯と睨めっこを始めると、
「ちょっと貸して下さい!」
「えっ?ちょっ……志帆ちゃんっ!?」
彼女は私の手からひょいっと携帯を取り上げ、物凄い速さで文字入力している。
動揺しつつも呆気に取られて見ていると、
「送~信!!」
「えっ?!」
既に送ってしまったようだ。
「何て、送ったの?」
「あ・い・た・い」
「嘘ッ?!」
「フフッ、嘘ですよ~。先輩、動揺し過ぎ」
「もうっ!脅かさないでよ~」
ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、携帯が震え出した。
「早ッ!!先輩、来ましたよ~彼からの返信が」
「えっ?………嘘っ?!」
私の携帯を握りしめたままの志帆ちゃんが、ニヤニヤしながらディスプレイを見せるようにつき出した。
そこには―――――。
『アレルギーは無い。栄養のあるモノなら何でも』
絵文字も顔文字もなく、シンプルな文で綴られたメールが。