How much?!
暗闇に点在する無数の光は、宝石のように眩く輝き。
その一つ一つが同じ時間(とき)を過ごしている人の倖せの灯り。
1年の最後の日をゆっくりと刻み、新しい年を迎える為の大事なひととき。
贅沢過ぎるほどの景色に思わず涙が滲め始めた。
こんなに充実した時間を過ごすのはいつ振りだろう。
ただ刻々と過ぎてゆく時間を見届けていた自分が恥ずかしく思える。
「ありがとうございます」
「………どう致しまして」
いつの間にか隣りに腰を下ろした彼。
同じ窓の外を眺め、同じ時を刻む。
ただ、それだけで満足だと思えた。
暫く無言で眺めていると………。
どこからともなく、ドンドンッという反響がした、次の瞬間。
視界に蒼白い大輪が見事に咲いた。
―――――新しい年を迎えたようだ。
贅沢な光景に感動していると、不意に頭の上に重みを感じた。
彼の手がポンと乗せられたようで、自然とその手の主へと視線が移る。
「今年もヨロシクな」
「…………はい」
何故かは分からない。
だけど、『はい』しか言えなかった。
無駄に綺麗過ぎる顔に負けたのか、こんな素敵な夜景をプレゼントしてくれた事に感謝してなのか。
正直な所、自分でも良く分からない。
ただ、言えることは――――……
こんな風に彼と過ごすのも悪くないと思えた。