How much?!


私達は冷蔵庫からペットボトルのお茶を戴き、再び車に乗り込んだ。


「あの……」

「ん?」

「先程の方は……?」

「ん?あぁ、叔母だよ。母親の妹」

「………そうだったんですかぁ」


謎は1つ解けたが、まだまだ謎だらけだ。


「あの……」

「ん?」

「今日はどうして……?」

「………」


返答がない。

聞いてはいけない事を聞いてしまったのだろうか?

再び、車内に沈黙が流れる。

無意識に視線を窓の外に泳がせると、


「この前、何で来なかったんだ?」

「へ?」

「自宅に来るってメールして来ただろ」

「…………気まぐれです」


別に言い訳するつもりは無い。

した所で、馬鹿にされるのがオチだし。

私は視線を逸らしたまま、黙っていると。


「悪かったな、無視して」

「………へ?」

「他の事務員にお前が詰め寄られんじゃないかと思って、敢えて無視した」

「ッ?!…………えっ、じゃあ、私をからかったんじゃなくて?」

「え?………どういう意味?」

「えっと、…………何でもないです」


ちょっと待って。

今、凄く混乱している。

完全に馬鹿にされ、からかわれてたんだと思ってたんだけど、違うって事?


他の事務員に非難されないように気を遣ってくれたって事?

嘘っ?!


もしかして、志帆ちゃんが言ってたように、不器用な人………って事?



絡まった糸を解すように、ゆっくりと視線を彼に向けると……。


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