How much?!


「俺んちでいいか?」

「え?」

「この後、どこか行きたい所があるのか?」

「…………いえ、別に」


えぇ~~っ?!

何、この流れ!!

私はてっきり自宅へ送り帰されるものだと思ってたんだけど。


一気に心臓がバクバクと脈を打つ。

どうしよう、凄まじく緊張して来た。



久しぶりの感覚に心臓が悲鳴を上げている。

彼には気付かれないように必死に深呼吸を試みた。




車は宣言通り、彼のアパートへと到着した。

そして、先日と同じように彼の後を追って、部屋へと向かう。


彼女でもないのに、可笑しくない?

考えれば考えるほど腑に落ちない私はボーっとしていて、ドアの前で停止した彼の肩にぶつかった。


「んッ……」


痛むおでこを擦ると、


「お前、前見て歩けよ」

「ッ……」


悔しいけど図星なだけに何も言い返す事が出来ない。

恥かしさを睨みで誤魔化し、彼の後を追って部屋に入る。


「お邪魔します」

「適当に座ってて」

「………はい」


彼はエアコンのスイッチを入れ、キッチンへと。

ソファに腰を下ろした私だったが、すぐさま彼の後を追った。


「手伝います!」

「えっ?」

「美味しい珈琲でもお淹れしましょうか?」

「市販の珈琲で?」

「事務歴7年を甘く見ないで下さい!」

「フッ、………じゃあ、宜しく頼むよ」


彼は珈琲やカップ等、必要な物だけ用意してリビングへと。


私は姉の旦那さん(本場イタリアのプロのバリスタ)から伝授して貰った技を駆使して、珈琲を淹れた。





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