How much?!
「Luckyのプレミアムと同じくらい旨かったけど、いまいちネーミングセンスが無いからマイナス50円ってとこだな」
「………は?」
「今日の小町は、1150円」
この蕩けてしまいそうな甘い雰囲気の中――――。
今日一番の毒を吐きやがった。
『Lucky』とは、会社の目の前にあるカフェ。
そこの最高級の珈琲・プレミアムは、1杯1200円。
ネーミングセンスが無いからと、マイナス50円ってどういう事?!
頭に来た私は、必死に彼の腕から逃れようと試みる。
身体を捩り、手足をバタつかせ、思いっきり首を振り目一杯彼の腕に打ち付けた。
こんな状況、呑まれて堪るかッ!!
唾でも吐いてやろうかと彼の顔を見上げた、次の瞬間。
「お前、マジで襲われたいのか?」
「ッ?!」
凄味のある重低音が耳に届いた。
無意識に身体がビクッと震える。
そんな私を愉しむように、彼は口角を歪ませ恐ろしい一言を放った。
「本気で落としにかかるから、覚悟しろ?」
「ッ?!」
彼の言葉に身体が強張った隙に、彼は覆い被さるような体勢になった。
そして、怪しい光を宿した瞳は真っ直ぐ私の瞳を捕らえ、ゆっくり彼の影が降ってくる。
いつの間にか、片手で私の両手を頭の上で固定し……。
もう片方の手はスカートの裾辺りから太腿を這い上がる。
更に、無防備な唇に再び甘い刺激をもたらし始めた。