How much?!
「誰も居ないみたいね。ほら、中里さん、中に入って」
「………うっ………ッ……」
「泣いたってしょうがないでしょ?」
バトル後の女子社員2人が俺のいる部屋へと入って来た。
しかも、俺が奥のスペースにいるとも知らず。
すると、
「せっ、先輩!な、何してるんですかッ?!」
「何って、スカートを脱いでんの。見て分かんない?」
「へ?」
「ほら、これを穿いて、私のデスクの2番目の引き出しに紫色のポーチがあるから、それを急いで持って来て」
「え?………えっ、先輩」
「グズグズしてたら、時間が勿体ないでしょ?今は就業中なのよ?分かったら、サッサと行って来て」
「ッ?!…………はい!」
中里という名の女子社員は先輩の事務服に着替え、部屋を後にした。
衣擦れの音が妙に耳についた。
俺は微動だにせず、息を殺していた。
すると、再び戻って来た中里という女子社員。
「先輩、すみません」
「いいよ、気にしないで?こう見えても、意外と裁縫は得意だから」
「でも……」
「それより、ここにいると主任に怒られるから戻りな?」
「でも、先輩を残して行けませんよ」
「2人して席を外してたら、それこそ怒られるよ。私はお腹が痛くてトイレに籠ってるとでも言い訳しといて」
「えっ、でも……」
「いいから、早く行きな!15分位したら、戻って来て?多分、それ位には直ってると思うから」
「…………はい」
中里という女子社員が部屋を出ると、カチャッと鍵を掛ける音がした。