How much?!


「先輩に言いましたよね?忘年会の2次会からの帰りに、送って貰ったって」

「あぁ~うん、それは聞いた。確か、帰る方向が同じだったから、タクシーを乗り合わせたって」

「はい。で、私は酔ってふらついたフリをして、彼に抱きついたんです」

「えぇ~っ?!」

「先輩っ!声が大きい!」

「あっ、ごめんごめん。だって、かなり衝撃的で」

「衝撃的なのはその後ですから!」

「へ?」


彼女はますます顔を赤らめて話を続けた。


「好き過ぎて暴走するって気持ち、先輩分かります~?」

「……暴走?………う~ん、分かるような分からないような」

「要するに、思考より先に行動に出てしまうんですよ!……好き過ぎて」

「………ん」

「抱きついた後に自分でも気づいて……。でも、その後、自分でもどうしていいのか分からなくて」

「……うん」

「そしたら、彼が『うちに来るか?』って言ったんです」

「えぇ~~ッ?!」


あの皆川さんが……?!

信じられない。

ガッチリムキムキマッチョだけど、言葉も仕草もとても優しくて。

事務員の間では、麻生さんに次いで人気がある。

そんな彼が、いきなりお持ち帰り発言をしただなんて……。


唖然としていると、志帆ちゃんが照れながら話を続けた。


「『うちに来るか?』って、言葉を変えれば『夜のお誘い』じゃないですか」

「うん、当然でしょ」

「だから、私……言ったんです」

「………何て?」


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