How much?!
「皆川さんの目にどう映っているのか分かりませんが、私は“処女”なんです。その責任は、しっかり取って貰えるんでしょうか?って」
「………直球勝負だね」
「だって、こんなチャンス二度と無いと思ったから」
「…………うん。で、彼は何て言ったの?」
「……………『考えさせて』」
「考えさせて………か。でもそれって、真摯な答えだよね」
「はい、私もそう思いました。未経験なのを馬鹿にせず、即答で断る事もしなかったし。勿論、私の言葉を無視して空返事したりもしなかったので。ますます好きになってしまって……」
「………そうかぁ、そうだよね~。そんな風に言われたら、期待しちゃうよね」
志帆ちゃんと皆川さんの間で、そんなやり取りがあったなんて。
私はてっきり、皆川さんが志帆ちゃんに猛アタックしたのかと思ってた。
人は見かけによらないんだなぁ。
少し冷めた珈琲を口に含むと。
「彼はタクシーを先に私のアパートに回したんです」
「………ん」
「私は彼に嫌われたかな?って思いながら、タクシーを降りたら……」
「………ん?」
「彼がタクシーから降りて来て、私の腕を掴んで再びタクシーに乗せたんです」
「え?」
「完全に諦めきってた私は放心状態で……。気付いたら、彼のアパートに着いてました」
「嘘っ?!」
「で、彼に手を引かれて………」
「………そうだったんだぁ」
「はい。健ちゃん『ちゃんと責任は取るから』って言ってくれたんです。だから、彼の言葉を信じて……」
志帆ちゃんは照れ臭そうに話してくれた。