Not to memories
今日で最後の冬休み。
明日学校であっても
言えるタイミングがない気がする。

連絡を取ろうと思ったけど、電話帳はゼロ。

連絡先すべて消去しちゃったんだった。
いるかどうかわからないけど、
歩いて行ける距離だし、
まさとの家まで行ってみた。

また偶然会えるかもと期待していたが、
結局、家の前まで来てしまった。

よく考えたら、
ありがとうって言うだけなのに。。
チャイムを押す勇気でない。。

やっぱり帰ろうかな。。。


だめだ。やっぱり。

ピンポーン。。

はい。
まさとの声かな?

「あの飯田と言いますが、まさとさんはおりますか?」

「待ってて」

まさとだ。よかったー。
がちゃ。
「ゆな?
。。。。。。。

あがる?」

「あっ少し話したいことあるんだけど、
ほんとすこしだから外でもいいよ」

「外寒いし入って。」

そしてまさとの部屋に入った。

「あっごめん。ちょっと顔洗ってくる」

部屋から出て階段を下りていく音がした。
どうしたんだろー。
なんか少しまさと変?
そしてすぐ戻ってきた。

「で、どうしたんだよ。話ってなんだよ。」

「あっごめん。
まさとからしたらどうでもいい話なんだけど、
ちゃんと伝えておきたくて。
思い立ったら、まさとの家に向かってて。
あっなんかお邪魔だったら帰るよ?
別に明日学校で会えるしね」

「びっくりしただけ。ごめん。
ゆなが自分の意思でここに来るとは
思ってもみなかったから」

「ごめん。らしくない?」

「べつにいーんだけどさ」

???
なんだろ。
なんか変。
とりあえず、今日伝えるって決めたんだ。
言わなきゃ。

「私ね、一歩まで行かないけど、
前に進んだよ。

この間キャバクラを辞めたの。
オーナーに言ったら、激怒されて、
ぶん殴られたけど、どうにかなった。

あとね、ほら。
スマホ変えたの。

でね、
電話帳。

リセットした。

そしたらね、なんかスッキリしたんだ。

まさとがきっかけをくれたおかげ。

だからね、

ありがとう。

それだけなんだけど伝えたくて。」
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