Not to memories
キモたんが桜が満開になったことを
教えてくれたので、
土曜の朝からとんとろと散歩に出かけた。
一緒に行こーって誘ったけど、
ダメって言われて。。
結局一人。。。
まだ10時前でそんなに人はいない。
前に来た時に座ったベンチが空いていたので、
とんとろと座って上を見上げると、
キモたんの言うように、
桜は満開。
これでもか!ってぐらい咲いていて、
数十メートルの桜のトンネルになっている。
ゆいもこの桜を見ていたんだろうか。
施設から抜け出して、
桜を見る余裕などなかったのかだろうか。
それとも桜をみて
少し勇気もらったのだろうか。。
。。。
ゆいは桜すきだったのかな?
。。。
フガ。。
ふがふが。

ん?とんとろの花に
桜の花びらがついてる。。

。。。
そういえばまさとのところの
桜はどうなっているかな?
ここが満開ってことは、
やっぱり向こうも満開なのかも。。
一緒みよって言ったけど、
特に連絡がないってことは。。
やっぱり遠藤さんと上手くいっている証拠
なのかもしれない。

。。。。

フガフガフガ!
「何今度は??とんとろ?」
とんとろの視線の先には、
クッキー?らしき犬がいる。。。
その奥には。。キモたん。。

「飯田」

「気があうね。まだ10時前なのに。」

「は?飯田?時計みなさい。
もう12時過ぎてるぞ」

「え。。。二時間以上ここにいたみたい。。
すごい。桜見てるのって飽きないね」

「。。。昼めしは?」

「なーんにも朝から食べてません」

「とんとろも?」

「あっ。。。」

「かわいそーだろー?まったくー。
あっちにドッグカフェあるから!
行きますよ?」

「え?いいの?これ見つかったら
怒られんじゃない?」

「どーにかなる。それに約束したしな。
授業受ける代わりにうまいもん食わせるって」

したけど。。
ぷっ。キモたんまじめだな。。

二人と二匹でドッグカフェに入った。
とんとろは今までにない食べ物を見て
最初は困惑していたものの、
一口食べたらぺろりと完食。

私はキモたんオススメの
タコライスを注文し、
久々のヒットに少し感動した、

「で?最近嫌がらせは?」

「ないない。あれ以来何もない。
それに勘違いだったのかも。
ただの事故かも知んないし!」

「そー。ならいいけど。
。。。。。あのさ。
。。。飯田。
この前学校に来てた子だけどさ。。」

「大学生?あっ今社会人の人?」

「そう。あれからまた話した。
飯田の言ったとおり、ちゃんと振った。
そしたらあいつ笑ってたよ。
ちゃんと女としてみてくれたってさ。
。。。
ありがとうございました」

「お疲れ様でした。
キモたんはもう女嫌いやめる?」

「。。。なんで?」

「もともと女嫌いじゃなくて、
好きになったらいけないから
やめてたんだよね?
もういいんじゃない?
好きにならないなんていう縛りから
解放してみたら?」

「。。。。俺はこれでも教師だ。
人を好きにならないのが一番だと思う。
生徒じゃなくても、人という生き物とは」

「そんなっ。人を好きになったら、
まだ違う知らない世界が待ってるかもよ?
私が言える立場じゃないんだけど、
恋をするって、すっごいことだと思う。
そういうことだって、
教師として知っておいたほうが、
いいんじゃない?それに、
せっかく人に生まれてきたんだもん。
勿体無いよ。
好きになることやめたら」

「。。。考えとくよ」

「あ、でもさ。
私は好きになったらだめだかんねー!!?」

「はぁ??
飯田を好きになることは絶対にないな」

「なんかそこまで
言われるとむかつくんですけど。」

「ばか。飯田がそれを望んでんだろ?
好きとか嫌いとか男とか女とかで
関係決めたりすんの
好きじゃなさそうーだしな」

「キモたん大好き!!!
私キモたんの妹になる!」

「無理だな。
飯田は遠い遠い親戚ぐらいだから」
。。。
ぶっ。確かにそれぐらいが心地いい。
やっぱりキモたんは最高だ。

「なんか飯田弱ってんだろ?」

「え?そんなことないよ?」

「元気ない。聞くぞなんかあるなら」

「ないよ。ない。」

「はぁー。言え!なんだ?どーした?」

「。。。。どーでもしないよ。。
なんにもなーい。
。。。。
。。。。
じゃあ一つ質問!
忘れないようにするには
どうしたらいいのかな?」

「?」

「今こうやってキモたんの親戚になりたいって
思ったこと覚えてたいんだけど
どーしたらいいかな?」

「そんなこと。。
。。。。
真剣にそんなこと聞くか?普通。。。
。。。。。。。。じゃあ。
覚えておけるようなもの取っておけば?
これ。」

キモたんがニット帽に
付けている缶バッジを取り外し、
その裏にマジックで何かを書いている。

「何書いてるの?」

キモたんが缶バッジに
書いたのを見せてくれた。

そこには日付と場所、
担任の妹になりたいと思った日、
と書いてある。

「これ見たら思い出すだろ?」

「うん。思い出せるかも!」

「はいこれ。」

「もらっていいの?」

「そのために書いたんだし」

「ありがとうーーー!キモたん!」

「そんなに喜ぶなよ。でも、忘れないことはできても、思い出にしないことは難しい。」

「思い出にしないこと?」

「思い出はどんなに頑張っても思い出ってこと」

。。。。。

「。。。。」

「バカ!またすぐ元気なくす。なんだ今日は!?飯田らしくない!思い出にしたくないものができたら、言え!方法ぐらい教えてやる」

「あるの?」

「ある。まだ俺は試したことはないけどな」

「なんだー。。。」

「でも試してみようって気にはなったから」
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