Not to memories
ご飯を食べ終え、
コーヒーを持って、
また桜並木に戻ってベンチに腰掛けた。

「キモたんは桜を見ると何か思い出す?」

「うーん。そーだな。教師になって初めての春のことかな。教師になるのが夢だったから、
嬉しかったけど、不安も大きくて。
生徒って言ったってもう子供じゃないから、
負けたらだめだって気張ってて。でもやっぱそんなんだからうまくいかなくて。
桜見て考えてたら、先輩教師に言われたんだ。
生徒から学ぶことの方が多いって。
自分よりもしっかりした子がいることもある、
自分が未熟だと思うことだってある、
そしたら教えて貰えばいい。
生徒を一人の人としてみてあげたらいいって。
桜を見たら初心に戻ろうって決めた日でも
あったんだけどな。
。。。
忘れてた。よし、俺も書いとくか。」

キモたんはリュックサックから
ペンを取り出した。

「飯田なんか書くものない?」

「うーん。とんとろ?」

真面目にとんとろに書こうとしてるし。。、
「はいこれ」

「いいの?」

「うん。交換したらもっと覚えておけるよきっと!」
私のミニタオルを渡した。
キモたんはそのミニタオルに、
日付と場所、飯田と桜の思い出語る。
初心に戻って教師を続けろ。
。。。
「うん。私も思い出せそう。もう忘れない。
絶対に!忘れないようにする」

「あー。」

「キモたんありがとう。」

桜を見ながら、
胸が苦しくなり、
涙が出た。
泣いている私をみたキモたんは笑ってた。

笑いに変えてくれて、
助かった。
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