Not to memories
「おーい!大丈夫?
こんな所にいるとまた絡まれちゃうぞ!」

キャバ嬢は俺の顔の前で手を振って
おーいおーいと言っている。
ようやく俺の頭が稼働し始め、
キャバ嬢に礼を言おうと顔をみたら。。。

「え?飯田さん?」



「ん?あれ?」


頭がまた動かなくなったが、
条件反射のように飯田さんの腕を掴み、
気づいたら走っていた。

「ちょっとー!やめて!とまって!」

その声で我に返り、足を止めた。

「どーしの???急に走り出して」

「ごめんびっくりして」

「あー、あんなとこ男の子が制服で歩いたら
すぐに絡まれるんだからだめだよー!
ここなら大丈夫だからー。気をつけて帰ってねー。
じゃっ!」

歩いていこうとする彼女の後ろ姿は、
遅刻する彼女でも、
授業中の彼女でも、
木村さんが知る彼女でもない。

また新しい彼女がそこにはいた。。
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