Not to memories
「ごめんお待たせ!」

背中をポンと叩かれびっくりして正直心臓が飛び出るかと思った。びっくりしているであろう俺の顔をじーっと見てくる。
そんな飯田さんの顔は、学校の時の飯田さんじゃなく、昨日のキャバ嬢でもない彼女。
俺の見たことのない雰囲気をした彼女が、俺の目の前にいる。

少し化粧をしていて、ショートパンツを履いて足を出している。
普段黒くて胸のあたりまであるストレートの
髪は巻かれて、いつもより大人っぽくて。。

やばいな。。
正直かわいい。


「まだびっくりしてる?まさか来るとは思わなかった?」


「うん。まさか来るとは思わなかった」


「ははっ。私も滝口くんが来ると思わなかったよ。」

「俺の名前知ってんだ?」

「そりゃ。知ってるよ。学校で滝口くんを知らない人いないでしょう。。
むしろ!私を知ってることに驚いたよ。
しかも化粧してたしさ。あんな格好だし」

まさか観察してたとは言えない。。


「そりゃ知ってるだろ。成績いつもトップだろ?」


「あー。でも顔知らない人の方が多いし、その方が私も助かるんだけどな。。
で、なんでケーキ?滝口くんそんなにすきなの?」


「うん。俺甘党。」


「まじっ??見かけによらずかわいー。私もーって言いたいけど、ごめん私ケーキ苦手なの」

「まじか。。ごめんってじゃあなんで来てくれたの?」


「もしかして、滝口くんって天然?
あの状況でケーキに釣られてくる人いる?
勝手に言って勝手に去っていったから、
来るしかないじゃん」


別に無視することだって出来たはずだ。
俺がもしここでずっと待ってたらかわいそうとでも思ってくれたのだろうか。何も彼女は言わないが、彼女の暖かさが心地よく感じた。
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