Not to memories
特に彼女の深い部分には、
触れないように気をつけながら
たわいもない会話をしていた。

つい最近見た映画の話。
嫌いだったトマトを食べれるようになった話。
暑すぎて裸で寝たらお腹を壊した話。

そんな浅い会話でも
素直に笑えた。
彼女はどうなのだろう。

あっという間に行列待ちの2時間が経ち
ようやくケーキを食べることができた。

ケーキを食べ終え、
もう少し話したいと思ったが、
彼女はこの後用事があると言って
行ってしまった。


きっとキャバクラだろうと思ったが、
昨日のようになるのが怖かった。

俺は彼女にとったら関係のない存在。
しかも彼女の反論は正しくはないが、
きっと間違えでもない。

まだ、本当の彼女を知らない。
全く俺には素を見せていない。

だからって。。。
こういう時、矢野なら言えるんだろうな。


俺は小心者だ。

俺ってこんなんだったっけ?

知らなかった自分を知った。
< 30 / 358 >

この作品をシェア

pagetop