Not to memories

男嫌い

。。。

ブルルルル。。。

こんなタイミングで、ゆなのスマホがなっている。。
でもこの後ゆなが何を言うのか。

俺の望む答えではないことは、だいたい想像がつく。


「はい。。。うん。え?
もう?。。。

。。。

いく。

わかった。それじゃあ。」

誰と話していたのだろう。。
こんな状態でも会うことができる人。
ゆなにとって。。。

「まさと。私今から出かける」


「。。。」


「まさともついてきてくれる?」

。。。

「ああ。」

。。。意外な言葉に驚いた。。
その言葉に俺が救われている。。。
そんな俺がゆなを笑顔にしたいなんて言う資格はなかったんじゃないかと、恥ずかしくなった。



ゆなと俺は家を出て、
駅前のロータリーに向かった。

そこで何分か待つと、
目の前に黒光りしたセンチュリーが止まり、
運転手が外に出て扉を開けた。

「お待たせしました」

運転手は頭を下げ、ゆなと俺を入れて
扉を閉め運転席に座り車を走らせる。

。。。

初めてこんな高い車に乗った。。
しかも運転手付き。。。。

ゆなの世界と俺の世界は。。。やっぱり違う。
そう言われているようで。。


「ごめんね。まさとも来てもらっちゃって」

「は?来んなって言われてもきたし」

「ありがとう。私。。多分今は、まさとがいないと。。。ダメだと思って。。。
ごめん。。。。」

「大丈夫。ほら」

俺はゆなの手を握った。
でも。。ちがう。ゆなは俺に心配をかけたくないから言ってくれている。きっとそうだ。ゆなはどんな状況でも、自分よりも他人のことを考えてる。本人はきっと意識してないだろうけど。。俺って。。ダメだな。。

「ありがとう。まさと」
< 317 / 358 >

この作品をシェア

pagetop