Not to memories
気づくとマンションの駐車場に着き、
運転手が扉を開ける。

駐車場からマンションに上がるエレベーターから男が出てきた。

「ゆなちゃん。。。ん?君は誰だい?」

お前こそ誰かと思ったが、素直に答えると、
気持ち悪い笑顔でこっちを見た。

「もしかしてゆなちゃんの彼氏とか言わないよね?」

「。。。」


「伊達さんいちいち絡まないでくれない?」

「だってほら、これから大切なお話があるのに素性がわからない子がいたらダメでしょ?
ちゃんと確認しておかないと〜ねっ?」


「私がついてきてってお願いしたから。
いいの。そんなの伊達さんが気にすることじゃないでしょ?」

「はいはい
ゆなちゃん怒んないで。
じゃっとりあえずうちの部屋来てくれるかな?お二人さん」


俺たちはエレベーターに乗り、30階で降りた。
こんなにも広いマンションなのに、30階はこの部屋だけ。。。しかも最上階。。。

伊達って男は何もんなんだろう。
とにかく金持ちであることは間違えない。
扉を開け、部屋に通され、ダイニングテーブルらしきところに腰をかけ、伊達を待つ。。。

辺りを見回すと、とにかく広くグランドピアノまである。床は白く大理石のようだ。ここに伊達は住んでいるんだろうが全く生活感が感じられないくらい綺麗すぎる。
伊達はキッチンの方でコップを出そうとしている。

「ねぇ。お茶とかいいから早くして」

「まあまあ。それに話も長くなる。
お茶を飲んでゆっくり話をしましょう。
それに、
僕としては、君に興味が湧いて仕方ない」

君って俺のことか。。。

「。。。ごめん気にしないであの人が言うことは」

気にすんなって言われてもな。。。


伊達はお茶をテーブルに置き、腰をかける。。

そして壁に向かってリモコンのボタンを押している。。
すると、男の写真が映し出された。。

「え?もう見つかったの?」

「そう。情報網は結構ある方だからね。
この男、誰かわかるかな?」

「。。。見たことない。。こいつがゆいを痛めつけた人?」

「そう。」
。。。
まさか。。。そんなこと間で突き止められるなんて。。。こいつ本当に何もんなんだ。。。。

「で?誰なの?何者なの?今どこで何してんの!?」


ゆなの口調が。。怒りに満ちているようだ。
泣いていることはあっても怒っていることはほとんどみたことがない。。。

「富田議員の息子。ダメな子供で悪さばっかしては、パパに助けてもらってる甘ちゃん。
まっ今でもこの性壁は変わらずにあちこちで悪戯してるみたいだね」


「。。。。
そいつ今どこにいるの?教えて!?連れてってくれる?」

「もちろん。そのために僕がいるからね。君も来るかい?いいものが見れそうだよ?」

こいつ面白がってやがる。。。

「いいものって。。。おい!ふざけんな」

「はいはい。。ももう少し
冷静にならないとね。これから会うのに
そんなんじゃ話にもならないよ?
ねっ?彼氏見習いくん?」

完全にバカにしてるな。。。
相手にしてもここはしょうがない。。。

。。。
ゆなはこの男と会ってどうするつもりなのだろうか。会うことでゆいさんに対する何かは、解決することがだろうか。。。さらに悪化するだけではないのだろうか。

。。。

でも、会わなければ変わらないのかもしれない。。。
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