Not to memories
やば・・・

「あ・・・えっと・・あの・」


「飯田さんが気付いてないだけでしょ!

隣のクラスの佐藤くんだって、わざわざうちのクラスまできて、飯田さんに話にきてるじゃん。

飯田さん頭いいし、よく見ればかわいいし、気付く人は気付くんだよ!」

え・・・何言い出すの?
わけわかんない。武田さん泣いてるし、
もー、どうしたらいいのさ・・・
この状況・・・


「泣かないで。よくわかんないけどごめん。
でも、私よくわかんないよ。

私、武田さん泣かせることしちゃった?」

「朝、私滝口くんに告白したの!でも振られた。多分飯田さんのこと好きなんだと思う。だから。。」

武田さんの目に溜まっていた涙は、
もう目から留まることができなくなって、溢れ出した。

必死に手で拭き取っても、
拭き取りきれなくって。。。

武田さんの痛みが見て取れる。
でも、私は武田さんの知りたい答えは
何一つ持ってない。

「ごめん。滝口くんは私のこと好きじゃないよ。でも。。武田さん、私の言葉じゃ信じられないよね。。きっと武田さんが話したい相手は
私じゃないと思う。」


。。。


涙を流しながら、
武田さんはうんと頷いて、
小さな声でごめんと言った。


泣いて顔が腫れてる武田さんを
このまま放置するわけにいかなくて
保健室に連れて行き、

購買で売れ残りのパンを全て買って、
保健室に戻った。

少し落ち着いたようで、
涙も震えていた体も治っていた。

私はパンを渡し、
教室に戻ろうと保健室を出ようと
したら、

「待って、私こんなにパン食べれないよ。
まだ昼休みの時間あるから、一緒に食べてよ」

私は無言で武田さんが腰かけている
ベッドに戻り、
パンの袋をあけた。

「ごめん。パン買ってきてくれてありがとう」

「ごめん。もう残り物で好きなのないかもしれないけど」


武田さんが少し笑ってくれた。
よかったー。

「これ、いちごジャムコッペパンすきだから。
滝口くんも。

ごめんね。

これってよく言う「八つ当たり」ってやつ
だよね。

私ね、昨日滝口くん休んでたから、もしかして今日遅刻かもって思ったの。

最近、たまに遅刻するから。

遅刻の時なら二人になれるし、声かけられるって思って。

そしたら、
朝二人でいるところ見て、びっくりした。
昨日も二人とも休んでたし。
まさかって思って。
疑ってごめん。

それで、飯田さんが先に学校に向かったから、

滝口くんに告白したの。

でも振られちゃって。

当たり前だよね。

話したこともないのにさ。

でも、やっぱり好きで。。

つい朝のこと思い出して、
飯田さんに八つ当たりしちゃった。

ほんとごめん。」
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