Not to memories
次の日、目覚めたのは夕方の四時。。
え?朝じゃなくて。。?と、時計を見てびっくりしたけど、今日は土曜日。

今日はキャバのシフトを入れていたはずだ。もう向かわないと間に合わない。

またいつも通りの日がはじまる。
昨日のことは忘れよう。


お店の事務所に入り、化粧をして、服を脱いで、ドレスを着て、髪をセット。
こうすれば、弱い自分は消えていなくなる。
鎧のようなものなのかもしれない。

。。。

「ゆいちゃーん。今日もかわいいなぁー。
ほら隣おいでー」

「伊達さん。
ずっと来なかったから寂しかった。
もう来てくれないのかと思ったよ?」

「ごめんね。ゆいちゃん。
ニューヨーク行ってたの。ほらお土産。」

男はヴィトンの財布とバッグを
膝の上に乗せた。

「えっいいの?
それより、ニューヨークでも私のこと覚えててくれたんだー。
うれしい。

ほんとにうれしぃ」

「あったりまえだろー。
だから、今日もこのあと入れさせてもらうよ?
ゆいちゃん人気だからいつも予定入ってるって
店の人に止められるからー。」

「じゃあ今日はいいですよ。
もう来てくれないかと思ってたから、嬉しいし。予定全部キャンセルしてくるから。
もうちょっとまっててね。伊達さん!」


はぁ。IT企業の社長、30歳後半で、まだまだ、自分はイケてると勘違いしている。
結婚したいと近づいてくる女はたくさんいるが
満足いかない。
そんなところだろう。

二回目の来店。

基本、人を馬鹿にしてる。

女は体だけだと思ってる。


こういうやつが一番嫌い。

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