雨玉
公園につくと、ふたりはやっぱりベンチに腰掛けた。


さっきとは違って、肩と肩が当たって痛いくらいに、身を寄せ合った。


ここなら、誰かに見られる心配がないから。


とにかく、誰かに見られちゃダメなのだ。


「ねぇゆうくん。」


長く続いた沈黙を破ったのはわたしだった。


「んー?」


彼はどこを見ているだろう。


11月の空は、驚くほど澄んでいて、月がとても綺麗に光っている。


彼の目に月が反射して、その悲しそうな切れ長の目はギラッと光った。
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