雨玉
ごめんねなんて言わないでよ。


涙がまた、溢れた。


彼にバレないようにそっと拭い、それでもまた溢れる涙をまた拭う。


何度も、何度も、繰り返した。


初めてキスをした日、彼がわたしに言った言葉が蘇る。


『あーあ。これでひなたは俺のものだ。』


どうせなら本当に彼のものにして欲しかった。
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