雨玉
「………ひなた?」


耳元で彼がわたしの名前を呼んだ。


「ごめんね、起こしちゃった?」


起きたばかりの目を擦りながら、もう片方の手をわたしのお腹の辺りに回してきた。


「うん、ひなたが笑うんだもん」


「クリスマスのことを思い出してたんだよ」


「クリスマス?」


「そう。ヒロくんがこのマグカップくれたときに、わたしがいつも泣いてるからって言ったでしょう?それが、なんだかおもしろくって」


「そうだっけー?」


「そうだよ」そう言いながら彼の頭に自分の頭を預けた。
< 3 / 21 >

この作品をシェア

pagetop