雨玉
『遅くなってごめん!もう少しで着くけど、人いる?』彼からのメッセージ。


もう、何が遅くなってごめんよ。


心の中でそんな悪態をつきながら、『学校の人はいなさそう』そう返信を打ち込んだ。


『了解^ ^』


顔文字なんて送ってきても、許してあげないんだから。


スマートフォンを元の位置に戻すと、悴む手に息を吹きかけた。


11月の夕暮れは、30分と言えどわたしの体温を着実に奪っていった。
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