あなたの優しさが…
私が意識を無くした後…
ゆかりさんはお父さんだけ呼び止めた。
『お初にお目にかかります
桐生ゆかりと、もうします』
「あ…どうも」
『失礼ですが…あの子が今まで
どのように生きていたかご存知ですか?』
「…いいえ…」
『あの子は二度も母親に捨てられたんです』
「え…いや。おばあさんと暮らしてたんじゃ…」
『えぇ。中学卒業までです』
「まさか…あいつ…み、美咲を…」
『そうです』
「な…なんて…こと…を…」
『今後、あの子は私どもで守ります』
『何があっても、二度とあの子の前に現れないでください』
『失礼致します』
父はその場から動けなかった。
ゆかりさんは意識を失っている私と
私を運ぶ大東さんと、その場を後にした