あなたの優しさが…

雅樹はいつもと変わらず接してくれる。


雅樹に私の気持ちを知られたくない。


悟られないように…


妊娠も…別れも…



寝る時は必ず私を抱きしめてくれる。



これが最後…


雅樹の匂いも温もりも…温かさも。



そう思うと、涙が出そうになる。


泣いちゃダメ。

泣いたら…雅樹にバレちゃう。



けど、バレちゃうんだ…



『どうした?』



やっぱりバレた。


「ううん。雅樹が優しすぎるから…」


『なんだよ、それ』


そう言いながら笑い

早く元気になれって言う。


元気になるよって嘘をついて

眠りについた。
< 109 / 130 >

この作品をシェア

pagetop