あなたの優しさが…
約束
働いて初めての休みをもらい
街にでた。
久々の繁華街だったけど、
私は苦手になっていた。
早く買い物を済ませようと
呉服屋さんへ行った。
『いらっしゃいませ。何をお探しで』
店員に長襦袢と伝え、案内してもらった。
店員は私のことを覚えていたらしく
『前回っと同じ様なのをお探しで?』
何点か見ていると、1点に目が止まった。
綺麗な薄ピンクの桜がちりばめていた。
見た瞬間、あの新規客の笑った顔がちらついた。
これなら…と思い購入した。
いつもピンクなんで色は買わない。
ただ、あの客の笑顔が頭から離れない。
いつ来るかわからない客なのに…。
あー…。約束だからか。
約束が無ければ、街にすら出ないから。
そんなことを考えながら、家路についた。