あなたの優しさが…
家路へと急ぐ中、

私の横を通り過ぎた黒塗りフルスモの車が、少し先にある料亭の前で停まった


見た瞬間、身体がビクついた。




あの女が迎えに来たのか…と。

今の店に連れてこられた時に
同じような車だったから…。


車から見たことがない正装された男の人たちが降りてきた。


私が知る人達は、あんなに綺麗な格好はしない。

勘違いと安堵し家に早く帰ろうと思った。

『若っ!こちらです!』


若?その声に反応して見てみると


私が知っている顔があった。


あれ?この前の新規客?

けど、私が見た優しい顔もなく
険しい顔しかなかった。


一瞬だったから、見間違いだなっと
思い、買い物袋を両手で抱きしめるように、小走りで帰った。


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