あなたの優しさが…
その書類には
私の本名、両親のこと
私が売られたことが書いていた。
母親がどこかの組長の女だと
私は初めて知った。
だからか…ヤクザ相手にしてたんだ。
一つだけ抜けていた。
未だに私が母親に金を渡していること。
文字で書かれるのを見ると
自分でも嫌になる。
…これを知って、この人は私を見捨てるだろう。
初めから思っていた。
こんな私に誰も優しくしてくれるわけない。
そう思い、彼から離れようとしたが
彼の手は全く動かず
『言ったはずだ。一生離すつもりはない』
「私の過去を知ってもですか?」
やばい。泣きそう…
『フッ…俺はそんな小さい奴じゃねぇ』
その会話に割って入ってきた大東さん
『言葉足らずですよ』
と笑いながら補足してくれた。