あなたの優しさが…
キッチンを片付け、着替えをし
約束の10時まで掃除をした。
大東さんは5分前には来てくれて
私のアパートへ向かった。
私の部屋には殆ど物がない。
いつでもあの女から逃げれるようにと
キャリーバック1つに積めていたから。
それを見た大東さんは、黙って私を見て
『お部屋の解約はしました。忘れ物は捨ててください』
そう言うと、私の荷物を車に積んでくれた。
忘れ物は捨てて…
その言葉、私には【過去を捨てて】に聞こえてならなかった。
帰りにスーパーに寄り、数日分の食料を買った。
大東さんの話だと
雅樹は好き嫌いはないが
子供が好きなメニューを好む。
あんな見た目怖そうで無愛想なのに?と
クスクス笑ってしまった。
大東さんとの楽しい会話で
雅樹のことが少しだけ知れた。