あなたの優しさが…
「おかえりなさい」
いつも通りの時間、雅樹が帰ってきた。
雅樹が寝たら、どうにか抜け出して
あの女に会いに行こうと決めていた。
『…ただいま。今日は何かあったか』
その言葉にドキッとした。
悟られないように…
だから今日、素敵な女性に会ったと、ゆかりさんとの出来事を話した。
二人してゲラゲラ笑ったこと。
また会おうって約束したのに
連絡先を聞かなかったと後悔した話。
雅樹はそうかと話を聞いてくれた。
ご飯にするっとキッチンへ向かおうとすると
「話はそれだけか」
雅樹の言葉。
他に無いのかと聞かれているであろう…
さすが雅樹。
けど、言えない。雅樹に迷惑かかるから。
「うん!ないよ。ご飯、ご飯!」
そう言いながらキッチンへ逃げた。
ご飯を食べ、お風呂にも入り
あとは寝るだけ。
時計を見たら、時間はまだ大丈夫。
いつも1時に取りに来る。
ここからタクシーで行けば15分で着く。
12時45分に出ればいい。
いつも12時には寝る。
30ふんもあれば寝入ってくれるから。
そして12時。
『寝るか…』
ベッドへ入り、雅樹に抱きしめられる形で寝る。
『美咲…』
「なーに、雅樹」
『俺は…なんでもねぇ。寝ろ』
多分、私が変なの気がついてるんだ。
ごめんね…心配かけて。
だから今日で終わらせるから。
だから待ってて。