あなたの優しさが…

その時だった。

『勝手に店を辞めたら困るよ』


聞き覚えがある声。


こいつ…


私を監視してた男。


相変わらず身なりは綺麗。


母一人だと思っていた。



こりゃ、まずいなぁ。



そう思っていたら、男が私の前に居た


『お前は自分の立場をわかっていない』

『別の店でもいいから、きっちり稼いでこい』


そう言うと私の腕を掴んだ。



「い…いたっ…や、やめてよ。離して」


私の抵抗なんて、男には通用しない。


「いやだって言ってるでしょ!…痛いっ」


通用しないなら、とことん抵抗してやる

そう思い、男の手に噛み付いた。



『いてぇーなっ』


男は舌打ちをして腕を上げた。


叩かれるっと思い、目を瞑った。
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